ハンモンミミズ
Pheretima bimaculata Ishizuka, 1999b: 42; Nakamura, 1999: 58; 上平, 2013: 43.
Amynthas bimaculatus Blakemore, 2003: 26; 安藤ら, 2007: 124, 2008b: 147.
Amynthas bimaculata [sic] 上平, 2016b: 21.
タイプ標本
タイプ産地:Mt. Daibosatsu-toge(山梨県甲州市大菩薩峠)
タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 247)
パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 248)
形態
<外部形態>
全長 40–70 mm、体幅 3.0–4.5 mm、体節数 80–90。
体色は、背面は赤褐色で、腹面は灰白色。第一背孔は第 12/13 体節間溝に開口する。剛毛数は第 7 体節で 44–48 本、第 20 体節で 44–50 本。
受精嚢孔は 2 対で、第 6/7/8 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/2。2 タイプの性徴があり、1 つ目は第 9–10 体節の剛毛戦の前にある。2 つ目は第 18–19 体節の剛毛線より前に 10 数個の性徴が集まったものである。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は第 14 体節の腹面中央にある。雄性孔は突出型で、雄性孔間距離は体周の約 1/3。
<内部形態>
隔膜は第 5/6/7/8 体節間で少し厚く、第 8/9/10 体節間は欠き、第 10/11/12/13/14 体節間で薄い。
腸は第 15 体節から始まる。腸盲嚢は指状型で、5-7 本の小嚢に別れ、第 27 体節に開口し、前方に 4-5 体節分伸びる。
受精嚢は 2 対で、第7–8体節にあり、主嚢はシャベル型で、導管を持つ。副嚢は長く、捻れている。貯精嚢は大きく、第 11–12 体節に広がる。摂護腺はとても大きく、第 16–22 体節まで広がる。生殖腺は瓶状単生殖腺で、性徴につながる。
分布
東京都奥多摩(安藤ら, 2007, 2008b)、山梨県(Ishizuka, 1999b; 石塚, 2001; 上平, 2013)、静岡県(上平, 2016b)で記録されている。
ただし、東京都や静岡県の記録については今後の検証が必要である(南谷, 私見)。
図:これまでに出版された文献に基づく、ハンモンミミズの分布確認地点
備考
Blakemore(2003 addenda, 2010a, 2012e)はタッピミミズのシノニムにした。
引用文献
安藤麻菜, 菅原泉, 河原輝彦, 2007. 林相の違いによるミミズの現存量と種組成. 関東森林研究 (58): 123-126.
安藤麻菜, 喜多知代, 河原輝彦, 菅原泉, 2008b. 針葉樹人工林と広葉樹二次林とのミミズ群集の比較. 東京農業大学農学集報 53(2): 144-151.
Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.
Blakemore RJ, 2010a. Saga of Herr Hilgendorf's worms... In: Pavlíček T, Cardet P, Coşkun Y, Csuzdi C, (eds.), Advances in Earthworm Taxonomy IV (Annelida: Oligochaeta). Proceedings of the 4th International Oligochaeta Taxonomy Meeting Diyarbakir, 20-24 April, 2009. Zoology in the Middle East Supplementum 2. Kasparek Verlag, Heidelberg. pp. 7-22.
Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.
Ishizuka, K., 1999b. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- species with manicate intestinal caeca. Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 25(1): 33-57.
石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.
上平幸好, 2016b. 中部地方における陸棲貧毛類の調査報告 V. ー静岡県で採集された種類と分布ー. 函館短期大学紀要 42: 19–29.