ハチノジミミズ
Pheretima octo Ishizuka, 2000: 31; 石塚, 2001: ##; 石塚ら, 2014: 32; 上平, 2015a: 41.
Amynthas octo Blakemore, 2003: 8, 2012b: 20; 坂井, 2004: 32; 伊藤, 2013: 438.
タイプ標本
タイプ産地:Institute for Nature Study, National Science Museum, Tokyo(東京都港区 国立科学博物館)
タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-312)
パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-313)
形態
<外部形態>
全長 70–100 mm、体幅 3.0–4.0 mm。体節数 80–110。
体色は、背面は褐色で、腹面は淡黄灰色。
剛毛数は第 7 体節で 36–39 本、第 20 体節で 38–49 本。
第一背孔は第 12/13 体節間溝に開口する。
受精嚢孔は 4 対で、第 5/6/7/8/9 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/3。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は突出状型で、吸盤状の円形平板状型で、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 1/3。性徴は大きな吸盤状型で、第 18 体節(原記載の文章中では第 17 体節とされているが、図には第 18 体節の雄性孔に接するように図示されている)の雄性孔に接して8字型。
<内部形態>
隔膜は、第 5/6/7/8 体節間では厚く、第 8/9/10 体節間では欠き、第 10/11/12/13/14 体節間でやや厚い。
腸管は第 14 体節または第 15 体節から開始する。腸盲嚢は突起状型で、第 27 体節に開口し、3–4 体節前方へ伸びる。
受精嚢は 4 対で、第 6–9 体節にある。主嚢はシャベル型で、太く短い導管を持つ。副嚢を欠く。貯精嚢は大きく、背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺は第 17–19 体節まで広がり、導管は雄性孔に接続する。生殖腺は胞状で、第 18 体節にあり、性徴につながる。
分布
東京都(Ishizuka, 2000a; Ishizuka et al., 2000b; 石塚, 2001, 2005; 伊藤, 2013; 石塚ら, 2014)、神奈川県(坂井, 2004)、長野県(上平, 2015a)から記録されている。
東京都の記録は低地に限られている。神奈川県や長野県の記録は遠く隔たっており、今後の検証が必要である(南谷, 私見)。
図 これまでに出版された文献に基づく、ハチノジミミズの分布確認地点。
備考
Blakemore(2012b)は species incertae sedis としている。
引用文献
Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.
Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.
Ishizuka K, 2000a. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part IV. species with simple intestine caeca (2). Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 26(1): 13-33.
石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.
石塚小太郎, 2005. 常盤松御用邸の貧毛類. 国立科学博物館専報 39: 511-513.
Ishizuka K, Shishikura F, Imajima M, 2000b. Earthworms (Annelida, Oligochaeta) from the Imperial Place, Tokyo. Mem. Natn. Sci. Mus., Tokyo, Ser. A. (35): 179-196.
石塚小太郎, 皆越ようせい, 伊藤雅道, 2014. 皇居の大型陸生貧毛類〜皇居の生物相調査 第II期の結果から. 国立科学博物館専報 50: 29-34.
伊藤雅道, 2013. 明治神宮の陸生大型ミミズ類. 鎮座百年記念第二次明治神宮境内総合調査報告書 pp. 437-440.
上平幸好, 2015a. 中部地方における陸棲貧毛類の調査報告 IV. ー長野県で採集された種類と分布ー. 函館短期大学紀要 41: 39–48.
坂井宏行, 2004. 神奈川県内における陸生大型貧毛類フトミミズ科の生物多様性及び分布特性の解明. 横浜国立大学環境情報学府 修士論文.