ニッパラミミズ

 フトミミズ科 > ニッパラミミズ Pheretima nipparensis Ishizuka, 1999

Pheretima nipparensis Ishizuka, 1999c: 119.

  Pheretima nipparaensis [sic] 石塚, 2001: ##.

タイプ標本

タイプ産地:Ohtanba Valley(東京都奥多摩町 大丹波渓谷)

タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-277)

         パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-278)

形態

<外部形態>

 全長 150–155 mm、体幅 5.0–5.3 mm。体節数 134–138。

 体色は、背面は赤褐色で、腹面は黄灰色。

 剛毛数は第 7 体節で 48–52 本、第 20 体節で 52–64 本。

 第一背孔は第 12/13 体節間溝に開口する。

 受精嚢孔は 4 対で、第 5/6/7/8/9 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/3。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は中型の円形平板状で、突出型で、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 1/3。性徴は吸盤状型で、受精嚢孔域と雄性孔域の双方にある。第 7–9 体節の剛毛線の前後で、受精嚢孔よりやや内側にある。雄性孔域では、第 17–18 体節の雄性孔と同一ラインおよび雄性孔より内側にあり、数や位置の個体変異がある。

 

<内部形態>

 隔膜は、第 5/6/7/8 体節間ではやや厚く、第 8/9/10 体節間では欠き、第 10/11/12/13/14 体節間ではとても厚い。

 腸管は第 15 体節から開始する。腸盲嚢は鋸歯状型で、第 27 体節に開口し、2–3 体節前方へ伸びる。

 受精嚢は 4 対で、第 6–9 体節にあり、主嚢はシャベル型で、太い導管を持つ。副嚢の嚢状部は楕円形で、導管を持つ。貯精嚢は小さく、背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺は第 17–18 体節にあり、導管は雄性孔に接続する。生殖腺は胞状で、第 6–9 体節および第 17–19 体節にあり、性徴につながる。しばしば生殖腺を欠く。

 

 

分布

 東京都(Ishizuka, 1999c; 石塚, 2001)と山梨県(石塚, 2001)に分布する。

図 これまでに出版された文献に基づく、バラツキミミズの分布確認地点。


備考

 Blakemore(2003, 2012b)は、本種をヘンイセイミミズのシノニムにした。

 ヘンイセイミミズの性徴は剛毛線の前にあり、後ろにあることは稀なこと、雄性孔周辺の性徴のパターンが異なることから、別種だと考えられる。ヘイセイミミズやセグロミミズなど 4 対の受精嚢と小さな吸盤状性徴を持つミミズを含めた、形態学的・分子系統学的再検討が必要である(南谷, 私見)

引用文献

Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.

Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.

Ishizuka K, 1999c. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part II. species with serrate intestine caeca. Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 25(2): 101-122.

石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.