タンボフトミミズ

 フトミミズ科 > フクロフトミミズ属 > タンボフトミミズ Metaphire tanbode Blakemore, 2010

Metaphire tanbode Blakemore, 2010: 193.

タイプ標本

タイプ産地:ホロタイプ・パラタイプ 滋賀県大津市黒津5丁目 35°1′N、135°51′E

タイプ標本所在地:ホロタイプ 滋賀県立琵琶湖博物館 LBM1380000094

         パラタイプ 滋賀県立琵琶湖博物館 LBM1380000095、LBM1380000096

形態

<外部形態>

 体長 70-100 mm、体幅 2-3 mm。体節数約 100。

 剛毛は第 12 体節で 55 本で、それより後ろの体節では 50-60 本。

 第一背孔は第 12/13 体節間溝。

 環帯は第 14-16 体節を占める。受精嚢孔は 2 対で第 6/7/8 体節間溝にあり、体幅の 0.4 離れる。雌性孔は第 14 体節の中央に 1 個開口する。雄性孔は第 18 体節にあり、体幅の 0.4 離れる。雄性孔は少し盛り上がり、陥没状型。性徴はやや大きな膨れた吸盤状で、第 17/18 体節間溝から第 18 体節の剛毛線まで広がる。この性徴に対応するように、第 8 体節の腹面中央に皺がよった部分があり、交尾した痕跡であり、本来の性徴とは異なると考えられる。

 

<変異個体>左側の雄性孔が第 17 体節にずれた個体が発見され(右側の雄性孔は通常どおり第 18 体節)、右側の受精嚢孔は通常どおり第 6/7/8 体節間溝であるが、左側は第 6/7 体節間溝にしかなかった (Blakemore, 2010)。性徴は第 16/17 体節間溝と第 17/18 体節間溝にあった。また、右側雄性孔を欠き、左側受精嚢孔は通常どおりであったが、右側には第 7/8 体節間溝にしか受精嚢孔を持っていない個体が見つかっている (Blakemore, 2010)

 

<内部形態>

 隔膜は第 8/9/10 体節間溝で欠き、第 10/11 体節間溝では厚い。

 砂嚢は第 7/8 体節間溝から始まる。腸管は第 15.5 体節から始まる。腸盲嚢は指状型で 4 本の小嚢に分かれ、第 27 体節に開口する。

 最終心臓は第 13 体節。

 精巣は第 10-11 体節にあり、貯精嚢は第 10-11 体節にある。受精嚢は 2 対で第 7-8 体節にある。受精嚢の副嚢の導管は長く、主嚢は赤唐辛子型もしくはパプリカ型。摂護腺の導管は長く筋肉質で U 字型。生殖腺は無柄で、第 17-18 体節の腹行神経の下にある。 

 

分布

 タイプ産地である大津市黒津5丁目でのみ採集されている (Blakemore, 2010)。新種記載以降の記録は見当たらない。

生態

 水田地帯に生息する (Blakemore, 2010)。早朝に、アスファルトの上に這い出したものが採集された (Blakemore, 2010)

 

 腸管から、有機物の混じったシルトや分解されかけた植物の茎、有機物の破片が見つかっている (Blakemore, 2010)

備考

 種小名の由来は、田んぼで採集されたことを示している(from the paddy)(Blakemore, 2010)

引用文献

Blakemore RJ, 2010. Unravelling some Kinki earthworms (Annelida: Oligochaeta, Megadrili: Megascolecidae)- Part II. Opuscula Zoologica, Budapest 41(2): 191-206.