タマミミズ

 フトミミズ科 > アズマフトミミズ属 > タマミミズ Amynthas tamaensis (Ishizuka, 1999)

Pheretima tamaensis Ishizuka, 1999d: 231; Ishizuka et al., 2000b: 191; 石塚, 2001: ##; 安藤ら, 2008b: 147; 金田ら, 2012: 27; 南谷ら, 2013: 5; 石塚ら, 2014: 32.

  Amynthas tamaensis Blakemore, 2003: 8, 2012b: 20; 坂井, 2004: 44; 上平, 2020b: 12.

タイプ標本

タイプ産地:Higashi-Kurume City(東京都東久留米市)

タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-281)

         パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-282)

形態

<外部形態>

 全長 60–90 mm、体幅 2.5–3.5 mm。体節数 65–105。

 体色は、背面は明紫褐色で、紫色の金属光沢がある。腹面は黄灰色。

 剛毛数は第 7 体節で 26–32 本、第 20 体節で 30–37 本。

 第一背孔は第 11/12 体節間溝に開口する。

 受精嚢孔は 2 対で、第 6/7/8 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/4。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は突出状型で、中型の円形平板状で、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 1/3。性徴はとても大きな吸盤状型で、第 17–18 体節の剛毛線より後ろ側から第 17/18、18/19 体節間溝まで広がり、雄性孔より内側のラインにある。性徴の数や位置に個体変位がある。

 

<内部形態>

 隔膜は、第 5/6/7/8 体節間では厚くで、第 8/9/10 体節間では欠き、第 10/11/12/13/14 体節間ではやや厚い。

 腸管は第 15 体節から開始する。腸盲嚢は突起状型で、第 27 体節に開口し、4–5 体節前方へ伸びる。

 受精嚢は 2 対で、第 7–8 体節にある。主嚢の嚢状部は長く、太い導管を持つ。副嚢を欠く。貯精嚢は背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺の導管は雄性孔に接続する。生殖腺は大きな胞状で、第 17–18 体節(第 17/18、18/19 体節間溝まで広がる)にあり、性徴につながる。

 

 

分布

 東京都では低地から山地まで広く分布する(Ishizuka, 1999d; Ishizuka et al., 2000b; 石塚, 2001; 石塚ら, 2014)。その他、新潟県・茨城県から静岡県にかけて分布する(坂井, 2004; 安藤ら, 2008b; 金田ら, 2012; 南谷ら, 2013; 上平, 2020b)

図 これまでに出版された文献に基づく、タマミミズの分布確認地点。


引用文献

安藤麻菜, 喜多知代, 河原輝彦, 菅原泉, 2008b. 針葉樹人工林と広葉樹二次林とのミミズ群集の比較. 東京農業大学農学集報 53(2): 144-151.

Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.

Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.

Ishizuka K, 1999d. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part III. species with simple intestine caeca. Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 25(4): 229-242.

石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.

Ishizuka K, Shishikura F, Imajima M, 2000b. Earthworms (Annelida, Oligochaeta) from the Imperial Place, Tokyo. Mem. Natn. Sci. Mus., Tokyo, Ser. A. (35): 179-196.

石塚小太郎, 皆越ようせい, 伊藤雅道, 2014. 皇居の大型陸生貧毛類〜皇居の生物相調査 第II期の結果から. 国立科学博物館専報 50: 29-34.

上平幸好, 2020b. 関東地方における陸棲貧毛類の調査報告V ー神奈川県で採集された種類と分布ー. 函館短期大学紀要 47: 11–18.

金田哲, 野崎真奈, 藤井芳一, 2012. 農耕地における効率的なミミズ採取法の検討. Edaphologia 90: 25-30.

南谷幸雄, 丹羽慈, 本間航介, 金子信博, 2013. 佐渡の大型陸生貧毛類(ミミズ)相:新潟県本土と比較して. 埼玉県立自然の博物館研究報告 7: 67-78.

坂井宏行, 2004. 神奈川県内における陸生大型貧毛類フトミミズ科の生物多様性及び分布特性の解明. 横浜国立大学環境情報学府 修士論文.