コカゲミミズ

 フトミミズ科 > コカゲミミズ Pheretima rufidula Ishizuka, 1999

Pheretima rufidula Ishizuka, 2000a: 15; 石塚, 2001: ##.

タイプ標本

タイプ産地:Mt. Takao(東京都八王子市 高尾山)

タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 294)

         パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 295)

形態

<外部形態>

 全長 70–110 mm、体幅 2.6–3.3 mm。体節数 80–105。

 体色は、背面は赤褐色で、腹面は黄灰色。

 剛毛数は第 7 体節で 26–28 本、第 20 体節で 36–38 本。

 第一背孔は第 11/12 体節間溝に開口する。

 受精嚢孔は 4 対で、第 5/6/7/8/9 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/3。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は突出状型で、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 1/3。性徴を欠く。

 

<内部形態>

 隔膜は、第 5/6/7/8 体節間と第 10/11/12/13/14 体節間では厚く、第 8/9 体節間では欠き、第 9/10 体節間ではとても繊細。

 腸管は第 15 体節から開始する。腸盲嚢は突起状型で、第 27 体節に開口し、3–4 体節前方へ伸びる。

 受精嚢は 4 対で、第 6–9 体節にある。主嚢はシャベル型で、太い導管を持つ。副嚢は小さく楕円形で、導管を持つ。貯精嚢は大きく、背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺は大きく、第 18–20 体節まで広がり、導管は雄性孔に接続する。生殖腺を欠く。

 

 

分布

 東京都の高尾山と(Ishizuka, 2000a; 石塚, 2001)、埼玉県飯能市(柳戸・柳戸, 2016)で記録されている。

 

 石塚氏による東京における広範囲の調査にも関わらず、本種が記録されたのは高尾山のみだった(Ishziuka, 2000a; 石塚, 2001)。このため、埼玉県飯能市のものは別種の可能性があり、今後の検証が必要である(南谷, 私見)

図 これまでに出版された文献に基づく、コカゲミミズの分布確認地点。


備考

 Blakemore(2003, 2012b)は本種をヘンイセイミミズのシノニムとした。

 本種には性徴が全く見つかっていないことから、別種の可能性が高い。今後の形態学的・分子系統学的検証が必要である(南谷, 私見)

引用文献

Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.

Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.

Ishizuka K, 2000a. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part IV. species with simple intestine caeca (2). Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 26(1): 13-33.

石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125. 

柳戸信吾, 柳戸拓磨, 2016. 外秩父山地の大型陸棲貧毛類(ミミズ)相. 埼玉県立自然の博物館研究報告 10: 37-44.