Eisenia hachiojii

　ツリミミズ科＞シマミミズ属＞ 和名なし Eisenia hachiojii (Blakemore, 2007)

タイプ標本

基産地：東京都八王子市大谷町の小宮公園

タイプ標本所在地：

　　ホロタイプ（国立科学博物館 NSMT-An-371）

　　パラタイプ（国立科学博物館 NSMT-An-372-6）

形態

＜外部形態＞

　全長 30-70 mm (30-60 [原記載]、50-70 [Blakemore & Grygier, 2011])、体幅 2.5-3.0 mm。体の前半部は円柱形であるが、後半30体節分程度は平たく、三角形。体節数は 105-125。体色は生体では色素が沈着せずピンク色で、環帯は黄色、血管や消化器官が透けて見える。口前葉は上口前葉。第一背孔は第 3/4 体節間溝で痕跡的で、第 4/5 体節間溝に開口する。剛毛は 2 本 4 対で、aa:ab:cd:dd:U = 4:1:3:1:14:0.5。腎管孔は目立たない。

　環帯は鞍型で、第 22, 23-30、31 体節の 9-10 体節を占める。雄性孔は小さく、第 15 体節の bc 線中央に開口する。雌性孔も小さく、第 14 体節のb 剛毛線の側面に開口する。受精囊孔を欠く。性的乳頭は大きく、第 29 体節の b 剛毛線のすぐ体側にある。

＜内部形態＞

　第 13/14 体節間隔膜は厚く、第 17/18 体節間隔膜は薄いか欠く。石灰腺は第 11-12 体節にあり、大きな環状で、深い臓器壁内の縞模様がかる。食道弁は第 14/15 体節間にあり、そ嚢は第 15-16 体節、砂嚢は筋肉質で第 17-18 体節にあり、腸は第 19 体節から開始する。腎管は第 6-7 体節以降に存在し、1 体節に 2 個。

　貯精嚢は第 9 体節と第 11 体節では小さく痕跡的、第 10 体節と第 12 体節では大きい。卵巣は小さく、第 13 体節にある。卵巣子宮部は第 14 体節にあり、小さく痕跡的。摂護腺、受精囊を欠く。

分布

　基産地である東京都八王子市と (Blakemore, 2007)、滋賀県で発見されているのみ (Blakemore, 2007, 2010b)。

図これまでに出版された文献に基づく、Eisenia hachiojiiの分布確認地点

生息環境

　神社の手水場の排水溝の脇の泥や、収穫後の水田の湿った土で発見された (Blakemore, 2007)。また、農家の脇の溝の水中からも発見されている (Blakemore & Grygier, 2011)。

生態

　触っても、飛び跳ねるような動作を全くしない (Blakemore, 2007)。

　原生生物グレガリナ Monocystis 属が多数寄生していたことが報告されている (Blakemore, 2007)。

備考

　Szederjesi et al. (2014d) は基産地で得られた個体を再検討した結果全ての体節に腎嚢を持っていたため、シマミミズ属 Eisenia として所属を変更した。

シノニムリスト（全リスト）

Helodrilus hachiojii Blakemore, 2007: 17. [形態記載] (Dec 2007)

Helodrilus hachiojii Blakemore, 2010b: 203. [記述のみ]

Helodrilus hachiojii Blakemore, 2012b: 17. [記述のみ] (Feb 28, 2012)

Eisenia hachiojii Szederjesi et al., 2014d: 184. [記述のみ] (Dec 2014)

引用文献

Blakemore, RJ., 2007. Helodrilus hachiojii sp. nov. (Oligochaete: Lumbricidae) from Japan. Edaphologia 82: 17-23.

Blakemore RJ, 2010. Unravelling some Kinki earthworms (Annelida: Oligochaeta, Megadrili: Megascolecidae)- Part II. Opuscula Zoologica, Budapest 41(2): 191-206.

Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.

Blakemore, R.J., Grygier, M.J., 2011. Unraveling some Kinki worms (Annelida, Oligochaete, Megadrili, Lumbricidae)- part III. Soil Organisms 83(2): 265-278.

Szederjesi, T., Angyal, D., Balázs, G., Dányi, L., 2014d. Remarks on the earthworm genus Helodrilus Hoffmeister, 1845 with new epigean and subterranean records (Oligochaeta, Lumbricidae). Opusc. Zool. Budapest 45(2): 181-188.