ツリミミズ科 Lumbricidae

 日本産ツリミミズ科の検索表として、中村 (1972) や中村 (1999) があるが、旧来の分類を用いているため、属や種の詳細な再検討に基づく Easton (1981) や Sims & Gerard (1985)、Blakemore (2003, 2012) などの分類体系とは大きく異なっている。ここで用いている分類体系はほぼ Blakemore (2003, 2012) に基づいているが、最新の情報を取り入れて更新していく予定である。

 

 なお、フトミミズ科の検討を優先して整理しているため、ツリミミズ科については後回しにする予定。

 

 大石 (1934a) は大石・畑井で日本全国から集めた標本の中から 3 新種と 7 未知種を整理したが、その後未知種は記載されていない。なお、この 7 未知種の中に、Eiseniella 属 1 種、Eisenia 属 2 種、Bimastus 属 1 種、Allolobophora 属 3 種を見出している。

 関東以南ではツリミミズ科種数は極めて少なく、関東以南には、クロイロツリミミズ、サクラミミズ、シマミミズの 3 種しか分布しないと報告している (大石, 1934a)。また、特に九州では極めて貧弱である (上平, 2004b, 2010, 2012)。

 

 コンポストミミズとして、アカミミズ Lumbricus rubellus が日本でも確認されたとの情報があるが、中村 (1991) や Blakemore (2003) は確認できていないとしている。ただし、その後北方四島で分布が確認された (Shekhovtsov et al., 2018)

バライロツリミミズ属 Aporrectodea

ヒメツリミミズ属 Bimastos

 小林 (1941d) は、属の和名をコツリミミズ属としている。

ムラサキツリミミズ属 Dendrobaena

フクロナシツリミミズ属 Dendrodrilus

シマミミズ属 Eisenia

 小林 (1941d) は、属の和名をアカイロツリミミズとしている。

Eiseniella

オウシュウツリミミズ属 Lumbricus

  オウシュウツリミミズ Lumbricus terrestris Linnaeus, 1758

  アカミミズ Lumbricus rubellus Hoffmeister, 1843

 

Octolasion

  Octolasion tyrtaeum (Savigny, 1826)

引用文献

上平幸好, 2004b. 九州地方における陸棲貧毛類の調査報告I. ―宮崎県で採集された種類と分布―. 函館大学論究 35: 91-102.

上平幸好, 2010. 九州地方における陸棲貧毛類の調査報告III. -佐賀県で採集された種類と分布―. 函館短期大学紀要 36: 35-42.

上平幸好, 2012. 九州地方における陸棲貧毛類の調査報告IV. -大分県で採集された種類と分布―. 函館短期大学紀要 38: 41-49.

小林新二郎, 1941d. 西日本に於ける陸棲貧毛類の分布概況. 動物学雑誌 53(8): 371-384.

大石實, 1934a. 邦産ツリミミズ科(Lumbricidae)の分類と分布に就て(予報). 動物学雑誌46(3): 103-104.