ミタケミミズ
Pheretima mitakensis Ishizuka, 2000a: 28; 石塚, 2001: ##.
Amynthas mitakensis 安藤ら, 2007: 124; 安藤ら, 2008b: 147.
タイプ標本
タイプ産地:Mt. Mitake(東京都青梅市 御岳山)
タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 310)
パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 311)
形態
<外部形態>
全長 83–95 mm、体幅 3.0–3.4 mm。体節数 106–120。
体色は、背面は明褐色で、腹面は灰白色。
剛毛数は第 7 体節で 42 本、第 20 体節で 46 本。
第一背孔は第 12/13 体節間溝に開口する。
受精嚢孔は 4 対で、第 5/6/7/8/9 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/3。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は突出状型で、大きく、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 1/3。性徴は大きな吸盤状型で、第 19 体節の雄性孔より内側のラインで、剛毛線より後ろにある。
<内部形態>
隔膜は、第 5/6/7/8 体節間と第 10/11/12/13/14 体節間では厚く、第 8/9/10 体節間では欠く。
腸管は第 16 体節から開始する。腸盲嚢は突起状型で、第 27 体節に開口し、3–4 体節前方へ伸びる。
受精嚢は 4 対で、第 6–9 体節にある。主嚢はシャベル型で、太く短い導管を持つ。副嚢の嚢状部は細い管状で、細い導管を持つ。貯精嚢は背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺は第 16–21 体節まで広がり、導管は雄性孔に接続する。生殖腺は大きな胞状で、第 19 体節にあり、性徴につながる。
分布
東京都の御岳山、大岳山、奥多摩町氷川から記録されている(Ishizuka, 2000a; 石塚, 2001; 安藤ら, 2007, 2008b)。
図 これまでに出版された文献に基づく、ミタケミミズの分布確認地点。
備考
Blakemore(2003、2012b)は疑問符付きでコクショクミミズのシノニムとしている。
腸盲嚢の形や、体長、体色、性徴の分布など様々な側面で異なるため、コクショクミミズとは別種だと考えられる。今後の形態学的・分子系統学的再検討が必要である(南谷, 私見)。それまでは、とりあえず別種とみなしておく方が良い。
引用文献
安藤麻菜, 菅原泉, 河原輝彦, 2007. 林相の違いによるミミズの現存量と種組成. 関東森林研究 (58): 123-126.
安藤麻菜, 喜多知代, 河原輝彦, 菅原泉, 2008b. 針葉樹人工林と広葉樹二次林とのミミズ群集の比較. 東京農業大学農学集報 53(2): 144-151.
Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.
Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.
Ishizuka K, 2000a. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part IV. species with simple intestine caeca (2). Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 26(1): 13-33.
石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.