フユミミズ
Pheretima hiberna Ishizuka, 1999d: 233; 石塚, 2001: ##.
Amynthas hibernus Blakemore, 2003: 7, 2012b: 20; 安藤ら, 2007: 124, 2008b: 147.
Pheretima hiberna ? 上平, 2013: 43.
タイプ標本
タイプ産地:Mt. Mitake(東京都青梅市 御岳山)
タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-283)
形態
<外部形態>
全長 114 mm、体幅 4.1 mm。体節数 94。
体色は、背面は明褐色で、腹面は黄灰色。
剛毛数は第 7 体節で 44 本、第 20 体節で 44 本。
第一背孔は第 11/12 体節間溝に開口する。
受精嚢孔は 2 対で、第 7/8/9 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 2/5。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は突出型で、広い豆型で、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 2/5。性徴を欠く。
<内部形態>
隔膜は、第 5/6/7/8 体節間と第 10/11/12/13/14 体節間では厚く、第 8/9/10 体節間では欠く。
腸管は第 14 体節から開始する。腸盲嚢は突起状型で、第 27 体節に開口し、3 体節前方へ伸びる。
受精嚢は 2 対で、第 8–9 体節にあり、小さく、しばしば未発達。主嚢は嚢状で、太い導管を持つ。副嚢は細長い筒状だが、しばしば未発達で欠くこともある。貯精嚢は背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺の導管は雄性孔に接続する。生殖腺を欠く。
分布
東京都西部と(Ishizuka, 1999d; 石塚, 2001; 安藤ら, 2007; 2008b)、山梨県(上平, 2013)から記録されている。
図 これまでに出版された文献に基づく、フユミミズの分布確認地点。
備考
Blakemore(2003, 2012b)は雄性生殖器や受精嚢の少なくとも一部が退化した単為生殖型であり、2つ以上の分類群を含むと推定されるフカンゼンミミズの可能性があるとし、本種を Species incertae sedis としている。
引用文献
安藤麻菜, 菅原泉, 河原輝彦, 2007. 林相の違いによるミミズの現存量と種組成. 関東森林研究 (58): 123-126.
安藤麻菜, 喜多知代, 河原輝彦, 菅原泉, 2008b. 針葉樹人工林と広葉樹二次林とのミミズ群集の比較. 東京農業大学農学集報 53(2): 144-151.
Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.
Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.
Ishizuka K, 1999d. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part III. species with simple intestine caeca. Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 25(4): 229-242.
石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.
上平幸好, 2013. 中部地方における陸棲貧毛類の調査報告 II. ー山梨県で採集された種類と分布ー. 函館短期大学紀要 39: 41-48.