ゴツイミミズ

 フトミミズ科 > アズマフトミミズ属 > ゴツイミミズ Amynthas quintanus (Ishizuka, 1999)

Pheretima quintana Ishizuka, 1999d: 239; 石塚, 2001: ##; 柳戸・柳戸, 2016: 39; 南谷, 2016: ##.

  Amynthas quintanus Blakemore, 2003: 7, 2012b: 18; 坂井, 2004: 40.

タイプ標本

タイプ産地:Ohtanba Valley(東京都奥多摩町 大丹波渓谷)

タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 290)

         パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 291)

形態

<外部形態>

 全長 65–80 mm、体幅 2.5–3.0 mm。体節数 72–90。

 体色は、背面は赤褐色で、腹面は明黄灰色。

 剛毛数は第 7 体節で 42–46 本、第 20 体節で 44–46 本。

 第一背孔は第 12/13 体節間溝に開口する。

 受精嚢孔は 5 対で、第 4/5/6/7/8/9 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/3。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は突出型で、広い円形平板状で、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 1/3。性徴は小さな吸盤状型で、第 18 体節の雄性孔より少し内側のラインで、雄性孔に接して剛毛線の前後にある。性徴と雄性孔の直径はほぼ同一。

 

<内部形態>

 隔膜は、第 5/6/7/8 体節間と第 10/11/12/13/14 体節間では薄く、第 8/9 体節間では欠き、第 9/10 体節間ではとても繊細。

 腸管は第 14 体節から開始する。腸盲嚢は突起状型で、第 27 体節に開口し、4 体節前方へ伸びる。

 受精嚢は 5 対で、第 5–9 体節にあり、小さく、しばしば未発達。主嚢はシャベル型で、短く太い導管を持つ。副嚢は小さな楕円形で、細く捻れた導管を持つ。貯精嚢は背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺は大きく、第 17–20 体節に広がり、導管は雄性孔に接続する。生殖腺は瓶状複生殖腺で太い導管を持ち、第 18 体節にある。

 

 

分布

 東京都と(Ishizuka, 1999d; 石塚, 2001)、神奈川県(坂井, 2004)、埼玉県(柳戸・柳戸, 2016; 南谷, 2016)で記録されている。

図 これまでに出版された文献に基づく、フユミミズの分布確認地点。


引用文献

Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.

Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.

Ishizuka K, 1999d. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part III. species with simple intestine caeca. Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 25(4): 229-242.

石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.

南谷幸雄, 2016. 秩父地方の大型陸棲貧毛類(ミミズ)相. 埼玉県立自然の博物館研究報告 10: 45-52.

坂井宏行, 2004. 神奈川県内における陸生大型貧毛類フトミミズ科の生物多様性及び分布特性の解明. 横浜国立大学環境情報学府 修士論文.

柳戸信吾, 柳戸拓磨, 2016. 外秩父山地の大型陸棲貧毛類(ミミズ)相. 埼玉県立自然の博物館研究報告 10: 37-44.