カラマツミミズ

 フトミミズ科 > アズマフトミミズ属 > カラマツミミズ Pheretima alpestris Ishizuka, 1999

Pheretima alpestris Ishizuka, 1999c: 107; 石塚, 2001: ##.

タイプ標本

タイプ産地:Mt. Kumotori(東京都奥多摩町 雲取山)

タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-267)

形態

<外部形態>

 全長 103 mm、体幅 4.4 mm。体節数 126。

 体色は、背面は暗褐色で、腹面は黃灰色。

 剛毛数は第 7 体節で 46 本、第 20 体節で 50 本。

 第一背孔は第 11/12 体節間溝に開口する。

 受精嚢孔は 4 対で、第 5/6/7/8/9 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/3。環帯は第 14〜16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は突出型で、大きく、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 1/3。吸盤状型性徴が第 19–23 体節の剛毛線より後ろの雄性孔と同一ラインにある。

 

<内部形態>

 隔膜は、第 5/6/7/8 体節間ではとても厚く、第 8/9/10 体節間では欠き、第 10/11/12/13/14 体節間ではとても厚い。

 腸管は第 15 体節から開始する。腸盲嚢は鋸歯状型で、第 27 体節に開口し、5 体節前方へ伸びる。

 受精嚢は 4 対で、第 6–9 体節にあり、主嚢はシャベル型で、太い導管を持つ。副嚢は細く捻れている。貯精嚢は背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺は第 16–21 体節にあり、導管は雄性孔に接続する。生殖腺は胞状で、第 18 体節にある。原記載の記載文では胞状生殖腺は第 18 体節と記述されているが、図には 5 個の生殖腺が描かれている。

 

 

分布

 東京都の雲取山(Ishizuka, 1999c)と七つ石山(石塚, 2001)でのみ記録されている。

図 これまでに出版された文献に基づく、カラマツミミズの分布確認地点。


備考

 Blakemore(2003, 2012b)はコクショクミミズのシノニムとした。

 コクショクミミズは受精嚢孔域・雄性孔域双方に性徴を持つため、別種だと考えられる。今後、形態学的・分子系統学的再検討が必要である。

引用文献

Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.

Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.

Ishizuka K, 1999c. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part II. species with serrate intestine caeca. Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 25(2): 101-122.

石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.