エンケイミミズ
フトミミズ科 > エンケイミミズ Pheretima subrotunda Ishizuka, 2000
Pheretima subrotunda Ishizuka, 2000a: 13; 石塚, 2001: ##.
タイプ標本
タイプ産地:Nippara Valley(東京都奥多摩町 日原渓谷)
タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 292)
パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 293)
形態
<外部形態>
全長 40–65 mm、体幅 2.1–2.8 mm。体節数 70–90。
体色は、背面は赤褐色で、腹面は灰白色。
剛毛数は第 7 体節で 42–46 本、第 20 体節で 46–52 本。
第一背孔は第 12/13 体節間溝に開口する。
受精嚢孔は 4 対で、第 5/6/7/8/9 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/3。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は突出状型で、大きく、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 1/3。性徴を欠く。
<内部形態>
隔膜は、第 5/6/7/8 体節間では厚く、第 8/9/10 体節間では欠き、第 10/11/12/13/14 体節間ではやや厚い。
腸管は第 15 体節から開始する。腸盲嚢は突起状型で、第 27 体節に開口し、3–4 体節前方へ伸びる。
受精嚢は 4 対で、第 6–9 体節にある。主嚢はシャベル型で、太い導管を持つ。副嚢は太く捻れた管状で、導管を持つ。貯精嚢は大きく、背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺は大きく、第 16–20 体節まで広がり、導管は雄性孔に接続する。生殖腺を欠く。
分布
東京都(Ishizuka, 2000a; 石塚, 2001)と山梨県(上平, 2013)に分布する。
なお、石塚氏の調査では多摩川の南岸(御岳山〜高尾山)からは発見されていないため(Ishizuka, 2000a; 石塚, 2001)、上平(2013)による上野原の記録は不自然であり、今後の検証が必要である(南谷, 私見)。
図 これまでに出版された文献に基づく、エンケイミミズの分布確認地点。
備考
Blakemore(2003, 2012b)は本種をヘンイセイミミズのシノニムとした。
本種には性徴が全く見つかっていないことから、別種の可能性が高い。今後の形態学的・分子系統学的検証が必要であり、それまではひとまず別種として扱うほうが良い(南谷, 私見)。
引用文献
Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.
Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.
Ishizuka K, 2000a. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part IV. species with simple intestine caeca (2). Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 26(1): 13-33.
石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.
上平幸好, 2013. 中部地方における陸棲貧毛類の調査報告 II. ー山梨県で採集された種類と分布ー. 函館短期大学紀要 39: 41-48.