イマジマミミズ

 フトミミズ科 > イマジマミミズ Pheretima imajimai Ishizuka, 1999

Pheretima imajimai Ishizuka, 1999c: 114; 石塚, 2001: ##.

タイプ標本

タイプ産地:National Science Museum (Hyakunincho, Shinjuku-ku)(東京都新宿区百人町 国立科学博物館新宿分館)

タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-273)

         パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An-274)

形態

<外部形態>

 全長 210–260 mm、体幅 6.7–7.6 mm。体節数 120–137。

 体色は、背面は明黄色で、腹面は黄灰色。体節間溝に暗赤褐色の帯があり、縞模様に見える。

 剛毛数は第 7 体節で 38–46 本、第 20 体節で 48–55 本。

 第一背孔は第 12/13 体節間溝または第 11/12 体節間溝に開口する。

 受精嚢孔は 4 対で、第 5/6/7/8/9 体節間溝にあり、受精嚢孔間距離は体周の約 1/3。環帯は第 14–16 体節を占める。雌性孔は一つで、第 14 体節の腹面中央に開口する。雄性孔は大きく、突出型で、第 18 体節に開口する。雄性孔間距離は体周の約 1/3。性徴を欠く。吸盤型の外部表徴が、第 7–9 体節の剛毛線より後ろ側で、受精嚢孔より内側のラインにある。第 18 体節にも(時に第 17、19 体節にも)雄性孔より少し内側で、剛毛線の前後にも吸盤状型外部表徴がある。受精嚢孔域・雄性孔域の外部表徴の数や位置には個体変異がある。

 

<内部形態>

 隔膜は、第 5/6/7/8 体節間と第 10/11/12/13/14 体節間ではとても厚く、第 8/9/10 体節間では欠く。

 腸管は第 15 体節から開始する。腸盲嚢は鋸歯状型で、第 27 体節に開口し、3–4 体節前方へ伸びる。

 受精嚢は 4 対で、第 6–9 体節にあり、主嚢はシャベル型で、太い導管を持つ。副嚢の嚢状部は小さなソーセージ型で、長い導管を持つ。貯精嚢は小さく、背面を第 11–12 体節まで広がる。摂護腺は第 17–19 体節にあり、導管は雄性孔に接続する。生殖腺を欠く。

 

 

分布

 東京都新宿区の旧国立科学博物館新宿分館でのみ記録されている(Ishizuka, 1999c; 石塚, 2001)

図 これまでに出版された文献に基づく、イマジマミミズの分布確認地点。


備考

 Blakemore(2003, 2012b)は本種をヘンイセイミミズのシノニムにした。

 ヘンイセイミミズは性徴を持ち、性徴は通常、第6–9体節の剛毛線より前に位置する。また、雄性孔域の性徴を欠くものが多い。少なくとも、ヘンイセイミミズとは別種であろう。一方で、性徴の分布のみを考えると、ヨコハラトガリミミズのものにも似ている。これらの4対の受精嚢を持ち、受精嚢孔域・雄性孔域に小さな吸盤状の性徴を持つ種類について、形態学的・分子系統学的再検討が必要である。

引用文献

Blakemore RJ, 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.

Blakemore, R.J., 2012b. Japanese earthworms revisited a decade on. Zoology in the Middle East 58 suppl 4: 15-22.

Ishizuka K, 1999c. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- part II. species with serrate intestine caeca. Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 25(2): 101-122.

石塚小太郎, 2001. 日本産フトミミズ属 (Genus Pheretima s. lat.) の分類学的研究. 成蹊大学一般研究報告 33(3): 1-125.