イッツイミミズ

 フトミミズ科 > フトミミズ属 > イッツイミミズ 'Pheretima' conjugata Ishizuka, 1999

Pheretima conjugata Ishizuka, 1999b: 34; Nakamura, 1999: 58; Blakemore, 2003: 38; 安藤ら, 2008b: 147.

タイプ標本

タイプ産地:Nippara Valley(東京都奥多摩町日原渓谷)

タイプ標本所在地:ホロタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 239)

         パラタイプ 国立科学博物館(NSMT-An 240)

形態

<外部形態>

 全長 90–140 mm、体幅 4.4–5.0 mm。体節数 65–83。

 背面は緑褐色で、腹面は黄褐色。

 剛毛数は第7体節で 45–51 本、第20体節で 45–52 本。

 受精嚢孔は1対で、第 6/7 体節間溝にあり、大きくて、受精嚢孔間距離は体周の約 2/5。受精嚢孔保有率に個体変異があり、9個体中、1対保有していたものは2個体、片側のみが4個体、全欠が3個体だった。性徴を欠く。第一背孔は第 12/13 体節間溝から始まる。環帯は第14–16体節を占める。雌性孔は1個で、第14体節の腹面中央にある。雄性孔を欠く。

 

<内部形態>

 隔膜は第 8/9/10 体節間溝で欠き、第 5/6/7/8 体節間溝でやや厚く、第 10/11/12/13/14 体節間溝で薄い。

 腸管は第15体節から始まる。腸盲嚢は指状型で、4–5 本の小嚢に分かれ、第 27 体節に開口し、前方に 3–4体節分伸びる。

 受精嚢は1対で、大きく、第 7 体節にあり、導管と大きな嚢状部をもつ主嚢と副嚢に分かれる。生殖腺を欠く。貯精嚢は第 11–12 体節の背面に広がる。摂護腺を欠く。

 

 

 

分布

 確実な情報は、タイプ標本が得られた日原渓谷周辺にしかない(Ishizuka, 1999b; 石塚, 2001)

 

 安藤ら (2008b) により静岡県富士宮市でも記録されているが、今後の検証が必要である。

 

図 これまでに出版された文献情報に基づくイッツイミミズの分布.


備考

 Blakemore(2003)は独立種としたが、Blakemore(2003addenda, 2012b)によって A. koreanus のシノニムにされた。

引用文献

 

安藤麻菜, 喜多知代, 河原輝彦, 菅原泉, 2008b. 針葉樹人工林と広葉樹二次林とのミミズ群集の比較. 東京農業大学農学集報 53(2): 144-151.

Blakemore, R.J., 2003. Japanese earthworms (Annelida: Oligochaeta): A review and checklist of species. Organisms Diversity and Evolution 11: 1-43.

Ishizuka, K., 1999b. New species of the genus Pheretima s. lat. (Annelida, Oligochaeta, Megascolecidae) from Tokyo, Japan- species with manicate intestinal caeca. Bulletin of the National Science Museum (Japan). Series A. Zoology 25(1): 33-57.

Nakamura Y, 1999. Checklist of earthworms of Pheretima genus group (Megascolecidae: Oligochaeta) of the world. Edaphologia 64: 1-78.